2008年03月20日

『ムネモパーク』を観る

mnemo01.jpg※写真はWebサイトから
東京国際芸術祭2008年参加作品
『ムネモパーク』
構成・演出:シュテファン・ケーギ  

これまでの演劇的作品の価値観で観ると、面白くない作品かもしれない。しかし、エンターテイメントではない何かがここからは学びだせるような気がしてならなかった。作品の内容については、Webサイトに詳しく書かれているが、実際に舞台で展開される物語もそれ以上でも以下でもない。

鉄道模型好きの4人の高齢者それぞれがつくったモジュールを持ち寄り、全長にして数百メートルのジオラマ(スイスの鉄道風景を再現)を完成させる。これが舞台となる。そのジオラマに、ミニチュアカメラを乗せた機関車を走らせて、みんなでゲームをしたり、インド映画(インド映画の多くはスイス山脈で撮影される)を撮ったりというだけだ。それを延々と1時間半。

意表をつかれた設定だが、ドリフの志村けんや加藤茶が、鉄道模型クラブでコントを繰り広げるというようなものだ(そこまで爆笑はできないが、いわゆる脱力系の笑いはある)。ただ、大きく異なるのは舞台に立っている鉄道模型好きの4人の高齢者(1人女性)が、すべて素人であること。演出のシュテファン・ケーギの発言が、Webサイトに掲載されている。

「僕はほとんどプロの役者と仕事をしない。しばしば演劇のために使われる“役”という言葉が一人一人の社会的役割を表すものであることを、忘れてはならない。」また、彼を論じた文章を見ると、「ケーギは新作の製作にあたり、都市に対する徹底的なリサーチを基に、政治的・社会的な文脈から作品を作り上げる。その過程で出会った一般の人々を、彼は「日常生活のスペシャリストたち」と評し、出演者として起用」するのだそうだ。

なるほど、それがこの舞台の魅力だったのか。鉄道模型が舞台装置としてあって、そこに鉄道模型になんの愛着もない普通の素人を舞台に上げたとしたら‥と想像すれば、容易にわかる。鉄道模型に一生をかけるような人たちだからこそ、この舞台の魅せ方、楽しみ方がよくわかっている。芝居というより、彼らが鉄道模型で遊ぶ姿を、ショーとして完結させたのだろう。

ただ、残念ながら日本人には伝わらないニュアンスが多々あったのだろう。対価に見合うかどうかというと、いまひとつ。今回は特別に息子も連れて行ったが、「鉄道博物館」の模型ショーのほうが面白かったとのこと。そりゃそうだ。この世界は、まだわかるまい。西巣鴨にある元小学校の体育館「にしすがも創造舎」。学校に来た巡回公演を観た頃の気分も味わえる。

mnemo02.jpg※写真はWebサイトから
鉄道模型を運ぶトラック。空輸されてきたそうだが、いろいろ破損もあったらしい。公演終了後は、舞台に行って鉄道模型を間近でみることもできる。

posted by 4430516 at 13:34| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・芝居とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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