2006年12月16日

「NICE AGE」を観る

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ナイロン100% 29th SESSION
■作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
■出演:峯村リエ 大倉孝二 みのすけ 松永玲子 長田奈麻 新谷真弓 安澤千草 廣川三憲 藤田秀世 喜安浩平 大山鎬則 吉増裕士 杉山薫 植木夏十 皆戸麻衣 柚木幹斗 佐藤誓 / 志賀廣太郎(青年団) 原金太郎 坂田聡 池谷のぶえ 加藤啓(拙者ムニエル)松野有里巳 /立石凉子(演劇集団円)

ここのところラッキーなことに、完売された芝居のチケットが追加公演や追加席、キャンセルなどで手に入ることが続く。今回のナイロン100%もそのひとつ。初演はかれこれ7年も前になるそうだ。ケラさんは、バンド有頂天の1stアルバムでファンになったが、その後劇団「健康」でも活躍は一度も観ることがなく、ナイロン100%になってから29回目の公演でようやくその力を拝見することができた。

3時間半の舞台(!)は十分なエンタテイメント性のおかげで、予想以上に短く、どこかで観たような気がする物語も、多少大目にみられる。楽しい芝居を観にきているのだということで割り切れば、台本に斬新さを求めることはないだろう。強いて物語を解釈するのならば、最後に「記憶を失う」シーンから僕らは生まれてきたのではないか?とか、僕らは記憶を失いながら生きているということに、非常に価値があるのではないか‥というようなこと。

役者陣は、多くの客演者により、老若男女かなり層が厚い。客演者が客演的でない(溶け込んでいる)ところも、普段の練習の中で統率できている演出家の力だろう。生の大倉孝二さんを間近で観られたのも良かったし、松永玲子さんの相変わらずのリアクション芸に再会できたのも収穫。何よりフリーでがんばっている1950、60年代生まれの役者陣は、さすがに面白い。こういった人々がさらに活躍できる場を広げられないだろうか。Web技術による演劇人口の増加を考えてみたい気がする。
posted by 4430516 at 23:25| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・芝居とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月20日

「イヌの日」を観る

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阿佐ヶ谷スパイダース プレゼンツ「イヌの日」
作・演出:長塚圭史
出演:内田 滋/剱持たまき/八嶋智人/大堀こういち/村岡希美/玉置孝匡/松浦和香子/水野顕子/大久保綾乃/中山祐一朗/伊達 暁/長塚圭史/美保 純

阿佐スパは、実は初めて。長塚京三さんのご子息は、でかく、芸風は明治大学時代の河原雅彦さんだなぁ‥というのが第一印象。1時間40分くらいまでは、かなり惹きつけられる。2時間を過ぎる頃に、うやや?と違和感を感じ、2時間30分を過ぎた頃は、ちょっとがっかりし、最後は「おいおい、これで終わりかよ。でも時間的には終わりだよな」と、本多劇場を後にした。

再演なので若干ネタばれ的な話もしてしまうが、違和感を感じ始めたのは、問題を起こしている母子の心理にもっと迫って欲しかったからだ。なぜ防空壕を爆発させて、監禁された人を最後に幽霊のように登場されるのか?そんなノスタルジックさよりは、母子関係や子供の精神的なゆがみをさらにえぐるほうが、かなり凝縮された秀作になったと思う。美保純さんの起用もそのほうが効果的だったろう。もっとも、そこまで美保純さんが演じきれるかわからないが、濡れ場だけでなく精神を問う演技も確かめたかった。

個人的には、長塚さんのケレン味に、本谷作品的な粘り強さが加わると良いかも。だれそうなところは、八嶋智人さんの絶妙な場の仕切りに助けられた。絶妙な間は、天性のものだろう。気になった内田滋さんは、はじめて観たが、男前だけでなく、声もいいし動きもしなやかだ。存在感がある。
posted by 4430516 at 00:35| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・芝居とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月18日

本谷有希子を観る

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劇団、本谷有希子 第11回公演「遭難、」
出演:松永玲子(ナイロン100℃)/つぐみ/佐藤真弓(猫のホテル)/吉本菜穂子/反田孝幸(文学座)

最近観た小劇場系の芝居ではピカイチ。飽きさせない脚本といい、それぞれが小技をもっている上手い役者陣の演技といい、これは!という舞台。ちょっと古いが、転位21のような継続した緊張感におとぼけも加わり、かといって観客に媚を売るようなケレン味はなく、日常の話から人間関係の本質をさぐる本谷小説の世界がしっかり伝わってくる。

原因がわかっているのに、ずっと原因にとりつかれたままで、その原因ばかりにとらわれて生きている人をテーマにしている。そして、原因を探ることに意味があるのだろうか?むしろ原因ばかりを捕らえようとすると、本質が見えなくなるのではないか?という、インパクトある問いが刺さる作品。原因ばかり探っている「つまらない論文」にも通じるところがある。

教師によるいじめ、家庭内暴力、ロリコン、盗撮‥など、最近のニュースネタが狙ったように盛り込まれる。佐藤真弓さんは、相変わらずのハマリ役。吉本菜穂子さん、実は結構美形だったりする。反田孝幸さんは初めて観たが、基礎がしっかりできている良い俳優。こういう人が入っていると安定感がある。つぐみさん‥うーん。せりふを言うとき、手が前に出るのは役作りか?力んでしまう癖か?
posted by 4430516 at 03:50| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・芝居とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月07日

猫のホテルを観る

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猫のホテル「電界」

これまで劇団名だけ聞いたことしかなく、今回はモノはためしで本多劇場へ。久しぶりに良い意味で小劇場の楽しみが味わえました。粒ぞろいの役者に、各シーンにおける芝居ならではの面白セリフと演出。役者陣が器用だということもあり、ここの方々はTVなどにも頻繁に出ておられる。メディアからみれば「使い勝手」がいいのでしょうね。

国学院大学の劇研(演劇研究会)からスタートし、16年を迎えたというのだから、同じような劇研にいた私からみれば、奇跡というしかありません。多分、僕らが立ち上げた劇団を続けていたとしたら、彼らと同じくらいのキャリアになっていたはず。これは、すごいことなんですよ。座長の千葉さんのマネジメント力に関心があります。

で、肝心の公演内容は、2時間ちゃんと観ました。楽しめました。しかし、肝心の本がわかりませんでした。これには困った。「電界」というタイトルと内容が結びつかず、ストーリーと枝葉のシーンが上手にからまっていない。面白エチュードの寄せ集めといったら失礼になるかもしれませんが、響くストーリーではないのが残念。役者さんたちの才能はよくわかったので、もっと骨太なシナリオを期待したいところです。そういう意味で4,500円という価値は、客演の松重さん(いつもながら安定した演技でうれしい)や池田さん、中村さんを観ることができたということにあります。

余談ですが座長の千葉さん、味はありますがメインの芝居にはあまり適していなかったかも。周りの役者と空気を作り上げるのが上手くできていないように思えました。活舌もあまりよろしくない。最後の「おまけ芝居」くらいにでていただくのが、プレミアがつくような気がします。シナリオさえ期待できれば、また次回公演もリピートしたい気がしますが、果たして‥。
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2006年07月30日

ブログで学ぶ映画の見方

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子供との約束もあり、無理やり早朝に起きて「日本沈没」を観に近所のシネコンまで車を飛ばす。70年代当時、映画やTVシリーズも観ており、いまもDVDを買って観ているほど、この作品は私の人格形成に影響を与えたもののひとつ。どちらかといえば、村野武憲のTVシリーズのファンだが。

観終わって、ネットの掲示板やblogなどで意見を読んでみたら、ストーリー、監督や役者、音楽などの基本的な要素だけでなく、リメイクとして云々、海外にもっていけない‥とか、あーだこーだと書き込まれており、改めて解釈の仕方の多様性を学ぶ。ま、書いている人からは「多様性なんて議論するのほどの映画じゃないよ」というのが大方だろうけど。

最近はこんな感じで、舞台や映画を観終わると、必ずネットで他の人の意見を見ることにしている。大事なのは、意見を読んでからではなく、観てから読むことだ。自分の感性を整理し、自分なりの考えを持ったうえでblogを見ると、自分の意見との差異から学ぶものがでてくる。確かに印象的な意見も多いが、マーケターとして貴重な情報源であることは言うまでもない。

「日本沈没」の映画評は、全般的に低いものの部類に入るようだが、一方で、前評判もよく売り上げも好調であると聞く。これは売れるためのターゲット設定がうまくできている証だろうか。テレビ風の作品で、うすっぺらい御涙頂戴&恋愛物語のストーリーだが、確かにそれを好むクラスタにはかなり受けがいいだろう。満点評価をしている人コメントを読むと、説得性がある。

個人的には、この映像技術&以前のシナリオでやってもらうと満足。まぁ「日本以外全部沈没」に期待かな。
posted by 4430516 at 15:14| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・芝居とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月24日

ダンダンブエノを観る

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永島敏行さん、坂井真紀さんという名の知れた役者さんを間近でみるというミーハーさも手伝って、近藤正芳氏のプロデュース劇団であるダンダンブエノ公演「砦」に行く。正直、台本的には面白くなく、よくあるマイナー小劇団(大学の劇団系?)がやるような内容だが、“この人たちでなければできない”という意味ではとても好感を持って観ることができた。特に坂井さん、近藤さんの演技には、惹きつけられるものがあり、シチュエーション的な違和感があっても、すんなりと我々も芝居の中へ入り込めた。

唯一作品の脚本力の問題を露呈させたのは、永島さんか。永島さんの出身である千葉が舞台になっていたので、当然彼のエッセンスもふんだんに使われていたのだろうが、どうにも観ていて辛い‥浮いている‥。観客からみると永島さんには、「台本を話す」というような行為が垣間見られるのだ。台本そのものは緊張感のないものだから、時々永島さんの素(ちょっと恥ずかし気にやっているようなところとか)が見て取れてしまうことがある。役者同士の解釈の差が、全体の作品の質を左右させるということを感じた。
posted by 4430516 at 22:26| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・芝居とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月09日

俳優とコピーライター

俳優になりたいあなたへ.jpg

「ぴあ」のWebサイトで見る限り、鴻上さんの最新作は空席が多そうである。優先予約があまっているばかりか、当日券が発売されていた。配役にも問題があるのかもしれないが、一時期のパワーを失っているのは、最近の作品を見た私もはっきり感じる。

この本はどうだろう。のっけから、高校演劇の審査員の話がでてくるが、勢いのあった第三舞台の初期では、高校演劇をだいぶ否定していたように思えるが、どこか意識が変わったようだ。「つくったろー」というような、高校生とのくさいストーリーでが展開されているが、「人気者と俳優は違う」というように、議論されている内容は極めて本質的である。

ごく簡単に解釈してしまうと、俳優は台本からその本質を読み取り、表現する技術をつかい、オーディエンスに作者の言いたいことを伝えることが出来る人を指す。私も大学に入る前と大学の数年は、だいぶ演劇にのめりこんだが、こう言われて、ものすごく納得できるのは、別の意味で表現する仕事についているからだ。

大学時代は、そこまで突き詰めて芝居などしていなかった。先輩や友人達、劇団の作家たちが書いた本は解釈すらしたくない幼稚なものか、訳が分からないぐちゃぐちゃな内容のどちらかしかなかったし、身体的なトレーニングは本格的なものを会得できたが、表現の部分はそれぞれの「感性」に任されていた。ほとんどの“役者”は、鴻上さんのいう「癖」で芝居を演じており、その“癖”で有名になっても、すぐに潰れていった。

ここに書かれていることは、表現する人に限らず、我々はコミュニケーションをして生きている以上、誰しも当てはまることだ。奇しくも、先日私が大学で行った講義と内容は一緒であった。役者もコピーライターも、戦略プランナーも仕事の本質的なフレームはみな同じなのだと、改めて考えさせられた1冊。
posted by 4430516 at 03:12| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・芝居とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月18日

エンタメ系インターンシップ

夕刊フジの記事(2006.02.18)―

劇団「東京演劇集団 風」が、日本大学芸術学部演劇学科の4年生5人を“インターンシップ”で受け入れ、21日から学生も出演する舞台「Touch〜孤独から愛へ〜」を上演する。学生の「就業体験」として定着しているインターンシップだが、俳優業での導入は異例で、注目されそうだ。(略)通常は4年間の実習生、研究生から契約(雇用)となるが、今回は昨年12月から劇団で座学、実技訓練を受け、3月に正式契約=就職となる。

―うむ。これって結局は青田買いなのだろう。座長が日芸の講師となっていたり、この劇団への就職を前提としているという。さらに座長は「役者は大学を出たときが一番(パワーが)強い」と、おっしゃっており、その役者を上手く使って芝居をうつようだ。本当のところ、エンタテイメント業界における「就業体験」って、成立するのだろうか?
posted by 4430516 at 21:49| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・芝居とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月12日

『贋作・罪と罰』を観る

贋作・罪と罰.jpg

久しぶりに野田秀樹さんの舞台『贋作・罪と罰』を観た。概要については←HPでかなり完結にまとめられている。この芝居のテーマ部分を抜き出すと―

「人間の贖罪」という深遠なテーマに帰結する名作の時代設定を、原作の帝政ロシアから「罪と罰」執筆と同時代の江戸末期へ移行。主人公を、ロシアの貧しい大学生から、幕末の江戸開成所に学ぶ女塾生に置き換えました。そして、原作がもつサスペンス的な要素に、かつて、"理想"というものを追い求めて生きた者たちの姿を二重写しにし、野田流の大胆不敵なアプローチで、<宗教のない"日本"という国に生きる日本人の姿>を描き出そうとしました。

初演は1995年に大竹しのぶ・筧利夫さんらが演じたらしい。今回は、松たか子・古田新太さんで、これもなかなか面白いキャスティング。円形劇場さながらの舞台の組み方も面白く、2階で観ると迫力が増す(この組み方は、行為の複数の解釈性を示すものか?舞台の最後の部分にも必要な演出のためのものか?)。

私としては、先月、鴻上さんの舞台で松さんのお姉さんを観ており、奇しくも「姉妹対決」になったわけだが、圧倒的に松たか子さんに軍配があがった。以前、野田さんの芝居に出演していることで、彼の世界やメソッドが理解できているせいか、しっかりとした存在感があった。

舞台が始まって1週間もたっていないからか、まだ台詞回しに自然さが感じられないところが多く、古田さんが舌をかんだところで、緊張感が切れたのは非常に残念である。しかし、野田さんの相変わらずの豊富なアイデア、泣かせる台詞回しは健在だ。鼻につく役者であまり好きでなかったマギーもこの舞台ではメリハリをつけてくれた。
posted by 4430516 at 07:46| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画・芝居とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月21日

トランス elder ver.

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KOKAMI@NETWORK第7回公演『トランス』を観る。久々の紀ノ国屋ホールは、こんなに薄汚れていて、こんなに狭かったのかという印象。しかし、この400席ほどを埋め尽くすには、よほどの実力がないと難しいことはよく分かっているつもりだ。今回は、同じ内容を20代と30代の役者がそれぞれyouth versionとelder versionとして演じるという企画。
[TRANS youth ver.] 高橋一生 / すほうれいこ / 瀬川 亮
[TRANS elder ver.] 松本紀保 / みのすけ / 猪野 学
たまたま取れたのが、elder ver.だった。松本紀保さんは松本幸四郎さんの長女、みのすけさんはナイロン100%の看板俳優、猪野学さんはTVドラマで人気に‥ということらしいのだが、実はその情報は後で知ることとなる。
『トランス』の台本だけは読んでいたが、やはり観てみても印象は同じ。鴻上尚史さんの舞台から得られることは、演出も含めて『朝日のような夕日をつれて』以上でも以下でもないことだ(特にこの作品は全く同じ)。ここのところの作品も観て、それは今後も同じだろうと確信する。台本も、演出も、役者も荒削りなのも好きだが、そろそろ完成度の高いものを求めたい。特に、松本紀保さんの演技は、鴻上さんの演出の枠に一生懸命はめているが、かわいそうなくらい見ていて厳しいものがあるなぁ‥来月の野田秀樹さんの舞台に出る妹(松たか子)に期待。
posted by 4430516 at 07:24| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・芝居とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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